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111.31KV620日記


オペラ、フィギュアを中心に、そのとき興味のあることがらを話題にしています。
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カテゴリ:映画・TV・本など( 177 )

映画「氷上の王、ジョン・カリー」の感想

映画「氷上の王、ジョン・カリー」公式サイト

映画「氷上の王、ジョン・カリー」を見てきました。アイススケートを「スポーツ」から「芸術」へと昇華させた、伝説の五輪フィギュアスケート金メダリスト――というのだけれど、正直なところ、アルベールビル五輪のころからフィギュアを見るようになった私としては、まったくといっていいほど知らない存在でした。

ところが、映画を見てみて気がつきました。

その1:フランスのフォーラムの管理人さんが使っているアイコン、「きっと昔の有名なスケーターなんだろうな」と思っていましたが、ジョン・カリーだったんですね。衣装を着けた選手時代の写真。これでした。

その2:上記のように、私はジョン・カリーをまったく知らないと思っていたのですが…。映画の中で、1984年の日本公演のことが出てきて、それらしいものをテレビで見たような記憶がよみがえり、気になって気になって。

帰宅後、さっそくPCでググってみました。「ジョン・カリー 日本公演」というキーワードでは、今回の映画に関する記事ぐらいしか見当たらなかったのですが、「ジョン・カリー 日本公演 桃井かおり」でググったところ、ドンピシャリの記事がヒットしました!

いえね、テレビで見たとき、ゲストに桃井かおりが出ていて、「すごく素敵なものを見せてもらいました」と絶賛していたのを覚えていたもので。^^ そんな記憶のおかげで、とてもくわしいレポが見つかりました。こちらのサイトです(ありがとうございます!)。「シンフォニー・オン・アイス」というショーだったんですね。

 *

さて、映画の感想です。アイススケートを「スポーツ」から「芸術」へと昇華させた、伝説の五輪フィギュアスケート金メダリスト――という映画のコピーを読んで、「試合のプログラムに美しい動きを取り入れた人なんだろうな」と思っていました。映画を見てみたところ、試合のプログラムももちろん美しかったですが、プロになってからの演技が素晴らしかった~。「牧神の午後への前奏曲」の美しいこと美しいこと。

今、アイスショーを見に行っても、あんなに美しいプログラム、そしてあんなに見ごたえのあるショーはめったにないですよね。それに、いくら表現力があるスケーターであっても、ジャンプなしではやはりちょっと物足りなく感じてしまうし。でも、映画で見たジョン・カリーの演技は、ジャンプなんかまったくいらないと思いました。滑っているだけで本当に美しかったです。

ただ、ああいうショーを運営していくのは、やはり大変なんですね。熱心にフィギュアを見るようになってから、上記のショーのことをたまに思い出し、「ああいう凝ったアイスショー、今はやらないよね。また見たいなあ…」などと思っていたのですが、そう簡単なことではないんだなと改めて思いました。
by noma-igarashi | 2019-06-08 00:45 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

4月中に読んだ本

スケーターワルツ

加賀 乙彦/筑摩書房

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加賀乙彦『スケーターワルツ』 評価:★★★ 
(あらすじ)
幼いころからフィギュアスケートに賭けてきた美也子は大学生になった今、全日本選手権をめざしている。しかし、ジャンプのために減量に取り組み、拒食症になってしまう。


加賀乙彦がフィギュアスケートの小説を書いていたとは、寡聞にしてこれまで知りませんでした。単行本が出たのが1987年で、伊藤みどり選手が活躍していたころのこと。そのせいか、女子選手がトリプルアクセルに挑戦する描写がわりと普通に出てきます。ちゃんと取材をして書かれた作品だと思ったので(練習の様子もしっかり書き込まれていました)、当時はそんなふうだったのかな。「フィギュアって素晴らしい」というよりは、「フィギュアってつらいことが多い」という内容かもしれないので、気軽におすすめしていいかわかりませんが、読みごたえのある作品でした。ちくま文庫に入っています。

暗黒童話 (集英社文庫)

乙一/集英社

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乙一『暗黒童話』 評価:★★ 
(あらすじ)
事故で記憶と左目を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植で死者の眼球の提供を受けたのだが、その左目がある映像を再生し始める。死者の眼球が呼び覚ます悪夢の記憶とは――。


最初に読んだ『暗いところで待ち合わせ』がなかなかよかったので、もうちょっと読んでみようと思った作者ですが、これはイマイチだったかな。悪いわけじゃないけど。この後で読んだものはヨカッタです(5月分に感想を書きますね)

ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3

奥泉 光/文藝春秋

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奥泉光『ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3』 評価:★★ 
(あらすじ)
たらちね国際大学に勤務する准教授・クワコーこと桑潟幸一准教授が主人公のシリーズ第3弾。クワコー先生、大学対抗ゆるキャラコンテストに着ぐるみで出場することに。そこへ、「ゆるキャラコンテストに出ると、おそろしき事がおこるぞよ」という脅迫状が届いて……。


3作目ともなると、若干マンネリ気味でもあり(作品というより読むほうの気持ちが)評価は★2つにとどめました(すまぬ)。ストーリーや謎解き以上に、貧乏なクワコー先生がいかにカネをかけずに食事をつくるか、そのその工夫の仕方が興味深いです。セミを食べたり、キノコを食べてえらい目にあったり。

野ブタ。をプロデュース

白岩 玄/河出書房新社

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白岩玄『野ブタ。をプロデュース』 評価:★★★ 
(あらすじ)
舞台は教室。キモチ悪いほどおどおどしたの転校生(ドラマでは女生徒だったようですが、小説では男の子でした)を人気者にすべく、オレはプロデューサーを買って出た!


以前、この作者の別のという小説を読んで(こちら)、けっこう面白かったので、試しに図書館で借りてみました。というか、これって、この作者の作品だったんですね。全然知りませんでした。ドラマ化されたときに番組欄で評判を見かけて、もっと軽い話なのかと思っていたのですが、最後はけっこう重かった。若者はツライ。若くなくなって、たまにホッとします。いや、マジに。
by noma-igarashi | 2019-05-21 23:43 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

3月中に読んだ本

聖母

秋吉 理香子/双葉社

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『聖母』 秋吉理香子 評価:★★★
(あらすじ) 東京近郊で、幼稚園児の遺体が発見された。被害者は死後に性的暴行を加えられていた。事件のニュースを見た主婦・保奈美は、ひとり娘に被害が及ばないかと不安に陥る。警察は懸命に捜査を続けるが、犯人はいっこうに捕まらない。娘を守るため、母がとった行動とは――。

この作者の本は初めて読みました。「ミステリ」というジャンル分けでいいのかな。
読者を間違った方向に誘導する仕掛け(引っかけというか)が二重、三重に施された作品でした。話が進むにつれて、1つ、また1つとその仕掛けが明らかにされ、そのつど「ああ、やっぱりね」と思ったのだけど、最後に用意されていたどんでん返しは予想外のものでした。ええ~、これってそういう筋書きの話だったんだ。

最後に謎解きがあってすっきり終わるミステリと違い、全容が明らかになることで、救われない気持ちにさせられる作品でした。セカンドレイプの世界といいますか。男女2人組の刑事さんに思い入れを持つようにもなっていたので、彼らに事件を解決してほしかったですが、主人公のことを思うと、解決しないほうがよかったのかもしれないです。

昼田とハッコウ

山崎 ナオコーラ/講談社

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『昼田とハッコウ』 山崎ナオコーラ 評価:★★★ 
(あらすじ) 若者に人気の町・幸福寺にある本屋さん「アロワナ書店」。地域密着型のこの書店で、三代目・ハッコウは名前ばかりの店長となった。その頃、ハッコウのいとこの昼田は、六本木ヒルズのIT企業に勤めていた。店内でぶらぶらするだけのハッコウと、店から距離をおいて会社勤めをする昼田だったが、書店の危機に際し、二人でゆっくり立ち上がる。

500ページを超す大作でした。小説の舞台となっている「幸福寺」は、JR中央線の吉祥寺をモデルにしていると思われたので、吉祥寺を思い浮かべながら読みました。主人公の昼田は、いとこのハッコウの家で兄弟同然に育てられたという設定で、そういう境遇やら、昼田がハッコウに対して抱いている複雑な感情やらは想像するしかないわけだけど、自分とは無縁の事柄も思い描けてしまうのが想像力のすごいところ。面白く読みました。

ところで、小説の舞台である幸福寺の駅前に、「このまちから総理が誕生」などという横断幕が掲げられている描写があり、幸福寺=吉祥寺とすると菅直人氏のことなのだけど、そのわりには東日本大震災は起きていないんだな、などと思っていたら、途中でいきなり出てきました。

これ、もしかしたら、この小説を書いている最中に震災が起きたのかもしれないな。刊行は2013年9月だけど、これだけの長編だし、震災前から執筆していた可能性はありそう。あるいは、執筆中に震災が起きたことで、この作者には珍しく、これだけの長編になってしまったとか。…などと、あれこれ想像をたくましくしてしまいました。

古書収集十番勝負 (創元推理文庫)

紀田 順一郎/東京創元社

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『古書収集十番勝負』 紀田順一郎 評価:★★ 
(あらすじ) 神保町に店を構える村雲書店の跡を継ぐのは長女の婿か次女の婿か? 余命幾許もない主人が考えだした後継者選びの方法――それは十冊の稀書の収集合戦だった! この十冊を巡って繰り広げられる、壮絶極まりない稀書収集合戦の行方は?

新刊書店が時代の流れの中であえぐ小説(上記『昼田とハッコウ』)の後は、神田神保町の古本屋を舞台にしたミステリを読みました。クセのある登場人物が続出し(ただし、女性が活躍しないなのがちょっと不満)、こんなこと現実にはないだろうとは思うものの、これはこういうお話なんだと割り切って読むのが正しい楽しみ方なのだろうと思います。
                                             
by noma-igarashi | 2019-04-21 17:07 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

またも小説にフィギュアの話題が!

数日前にアップした「2月中に読んだ本」の中で、フィギュアスケートの話題が出てくる小説を紹介しました(こちら)。その本を読んでからまだ1か月しか経っていないのに、なんと、いま読んでいる本にもフィギュアの話題が出てきました。山崎ナオコーラ『昼田とハッコウ』(2013年)という小説です。さらに、オペラを見に行ったという話題も出てきました。オペラについては、この作者のほかの作品にも出てきたので、作者自身が好きで、たまに見に行ってるんだろうなと思います。

まずフィギュアのことが出てきて、その10ページほど後にオペラの話題が出てきたのですが、順序を逆にしたほうが多少なりとも小説の内容(雰囲気程度ですが)を伝えられそうなので、オペラ→フィギュアの順に引用してみます。まだ読み終えていないのですが、今のところ面白く読んでいます。ちなみに、書名の『昼田とハッコウ』は登場人物の名前です。「昼田」が主人公オレで、「ハッコウ」は主人公と兄弟のように育ったいとこの愛称です。

 オレは銀次をハッコウに預け、新国立劇場へ行った。半年前から予約していた、ワーグナーの『ジークフリート』というオペラを観るためだ。チケットは三万円もした、今までとは違う使い方で金を使い、会社員生活を締めたかったからだ。
 ジークフリートという半神半人の捨て子は、成長して青年になったあと、育ての親を殺す。いわゆる、「父親殺し」の物語だ。
 物語というものにおいては、多くの主人公が、父親的な存在を殺害して、自分の価値観を確立し、未来を切り開いて、本当の大人になる。なんだかオレも、自分が大人になったせいで、公平(注:主人公オレの育ての親)が死んでしまったような気がしてしまう。 

 (注:会社勤めが)残り一週間を切ったある日、社内で一番ぶすな女が、こつこつと近づいてきて、
「コーチングしてください」
 と言った。
 コーチングというのは、相手の良さを引き出すものである。ティーチングとは違う。教え育てるのではなく、引き出すのである。たとえば浅田真央ちゃんのコーチは真央ちゃんよりも能力が高いということはまずないだろうが、真央ちゃんの能力の引き出し方を知っている。そういうことである。
 ちなみにオレはコーチングの資格を持っている。この資格を得るのに百万円使った。いろいろな本を集め、一年間スクールに通って、試験を受けた。その試験は誰でも受かるような、簡単なものだった。どうして百万円も必要だったのか、今になってみるとわからない。
 

昼田とハッコウ

山崎 ナオコーラ/講談社

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by noma-igarashi | 2019-03-14 22:53 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

2月中に読んだ本(フィギュアのことが出てくる本も!)

世界ジュニアの女子はライスト観戦できなかったので、テレビで見てから感想を書きたいと思います。気がついたらすでに3月なので、先に「2月中に読んだ本」をアップしておくことにしました。なんと、フィギュアの出てくる本もありましたよ~。

テルちゃん

玄侑 宗久『テルちゃん』 


玄侑 宗久/新潮社

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玄侑 宗久『テルちゃん』 評価:★★★
(あらすじ)フィリピンから日本の北の町に嫁いできたエテル、愛称テルちゃん。幸せな結婚生活もつかの間、夫が急死してしまう。風習の違う日本で子供を育てながら奮闘するテルちゃん、介護が必要な義母や夫の弟夫婦、近所の人々との関係を描いたほのぼの物語。

素敵なお話でした。先月に続き、今月もいい本に出会えて、これで年明け4連続。今年1年、連続記録をどんどん伸ばしていけたらいいんだけどな。
ところで、この本を読んでいたところ、いきなりフィギュアの話題が出てきて、びっくり。年末に家族みんなでテレビを見ていたら、フィギュアスケートの女子の試合をやっていた、という設定でした。この小説にはほかに大相撲を見るシーンも出てくるので、フィギュアスケート、国技の相撲と肩を並べる存在になっちゃった?

この本が出たのは2008年8月とのことなので、前の年だとして20087年。年末だから、全日本選手権ですよね。調べたら、2007年の全日本は12月26~28日で、まさに年末。なみはやで開催された全日本で(見に行ってました!)、女子は1位浅田真央、2位安藤美姫、3位中野友加里でした。該当シーン、抜き出してみますね。

「しばらく皆でフィギュア・スケートの女子決勝を見ていたが、義母は両脚をほぼ一直線にして廻転するスピンを見ながら、テルちゃんが帰ってきた安心感からか珍しく冗談のように呟いた。「あの子たちは便秘じゃないんだろうね」、皆が笑い、それでさっきのこと(注:義母の具合が悪くなったこと)も一気に過去のことになったようだった」

「両脚をほぼ一直線にして廻転するスピン」って、ビールマンかキャンドルスピン(このときはまだそういう命名が存在しなかったわけだけど)かな?

ぐるぐるまわるすべり台 (文春文庫)

中村 航/文藝春秋

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中村航『ぐるぐるまわるすべり台』 評価:★★
(あらすじ)僕は大学を辞め、塾講師のかたわら、バンドメンバーを募集した。熱くてクール、馬鹿でクレバー、新しいけど懐かしい、そんな面々が集まった――。

面白いとは思いましたが、もやもやした気持ちも残る1冊でした。「僕」はなんで大学を辞めちゃったの? 塾の講師もそれほど思い入れのある仕事ではなさそうだし、バンドにしてもどこまで情熱を傾けているのかよくわからないし、そんな生き方でいいの? それが若さだと言われてしまえばそれまでだけど、オバサンの年齢になった身としては、説教したくなってしまいました。そのうち貯金ゼロの中年になって、貧困高齢者になるよ。大学ぐらい、ちゃんと出ておけばいいのに。

少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)

加納 朋子/文藝春秋

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加納朋子『少年少女飛行倶楽部』 評価:★★ 
(あらすじ)中学1年生の海月が入部した飛行クラブ。2年生の変人部長・神をはじめとするワケあり部員たちは果たして空に舞い上がれるのか?

この作者の作品にしては、今ひとつでした。主人公が中学1年生なので、そのくらいの年齢向けにと思って書いたのかな? でも、そういう書き方だと、大人はつまらないし、中1の子も同じように感じると思うよ。子どもが面白いと思うものは、大人も面白いと思うものでなくっちゃ。

この段階で、「年明けから連続でいい本に出会えているから、その記録をどんどん更新していけたらいいな」という希望は途切れました。残念!

アコギなのかリッパなのか (新潮文庫)

畠中 恵/新潮社

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畠中恵『アコギなのかリッパなのか』 評価:★★ 
(あらすじ)佐倉聖は、腹違いの弟を独り養う大学生。すでに引退した大物政治家・大堂剛の事務所で雑用係の事務員を務めている。昔は不良で腕っ節が強い上、気転は利くし頭が切れる。事務所に持ち込まれる陳情・難題・厄介事・の後始末も、見事な手際で解決していく。新時代のユーモア・ミステリー。

初めて読む作者です。ブックオフで安売りしていたので、買ってみました。まあ面白かったです。いかにも作り事の小説なんだけど、1つ上の加納朋子の本に比べると、「こんなことあるわけないよなあ」と思いながらも、つい読んでしまうだけの工夫がされていると思いました。
                                            
by noma-igarashi | 2019-03-10 22:12 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

1月中に読んだ本(今年1年、いい本に出会えそう!)

ショパン 炎のバラード

ロベルト・コトロネーオ/集英社

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ロベルト・コトローネ『ショパン 炎のバラード』 評価:★★★
(あらすじ) 時は20世紀末、老ピアニストが死を前に自らの生涯を回想する――巨匠ミケランジェリを思わせるピアニストの「私」は、1978年、パリで亡命ロシア人から、ショパンが死の直前に書き遺したという謎の楽譜を託される。それは「バラード第四番作品52」の未発表フィナーレ「プレスト・コン・フオーコ」。ショパンの死後、楽譜はシ数奇な運命をたどり、革命時のパリからナチス支配下のベルリン、さらにはスターリン体制下のモスクワへとめぐり、今は「私」の手もとにある。楽譜の解明とともにショパンの秘恋が暴かれていく。
…とまあ、そんな設定の小説です。なので、私などよりクラシックにくわしい方だと、もっともっと楽しめるのではないかなと、そこを悔しく思いながらも、本好きとして十分に楽しめる一冊でした。ストーリー重視でいけば、どんどん大きく膨らませられそうな設定ですが、その手の作品ではないので、それほど劇的に物語が動くわけではありません。それでも、音楽を聴くのと同じように、小説を読む楽しさを味わえる一冊でした。
今年初めて読んだ小説ということになりますが、最初に読んだのがとてもよかったので、1年間、素敵な小説にたくさん出会えそうな気がしてきました。

消された文書 (幻冬舎文庫)

青木俊/幻冬舎

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青木俊『消された文書』 評価:★★★ 
(あらすじ) 警察官の姉が東シナ海の訓練で行方不明となって5年、防衛上の機密を理由に当局が真相を明らかにしないなか、新聞記者の山本秋奈はキャリア官僚の堀口とともに謎を追う。折しも沖縄ではオスプレイの墜落、県警本部長狙撃など事件が続発。一見無関係なこれらは、ある重大な国際問題と繫がっていた。圧倒的リアリティで日本の今を描く情報小説。
去年、私のtwitterのTLでずいぶん話題になっていた作品です。作者が作者だし、最初はノンフィクションなのかなと思っていました。沖縄の基地問題、あるいは公的文書の改竄をテーマにしたものなのかな、と。そうこうするうちに、小説だということがわかり、それならばと読んでみることにしました(ノンフィクションだと、自分の興味と一致したときに読むのがいちばん面白いと思うので、私の場合はある程度、読む時期を選びます)。
面白かったし、評価も★★★としましたが、どういえばいいかな、『ショパン 炎のバラード』を読んだ後だと、味わい深さには欠けたかなという気がします。例えば、登場人物が画一的だったり、人物描写よりもストーリーを動かすほうが重視されているように感じたり、文章もわかりやすいけど、味わい深さはイマイチかなと思ったり。でもまあ、そういう小説はそういう小説、こういう小説はこういう小説、それぞれでいいのではないかと思います。

ポプラの秋 (新潮文庫)

湯本 香樹実/新潮社

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湯本香樹実『ポプラの秋』 評価:★★★ 
(あらすじ) 父が急死した夏、母は幼い私を連れて知らない町をあてもなく歩いた。やがて大きなポプラの木のあるアパートを見つけ、引っ越すことにした。こわそうな大家のおばあさんと少しずつ親しくなると、おばあさんは私に不思議な秘密を話してくれた―。大人になった私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに蘇る。

よかったです。すごくよかった! まさに、上で書いた(↑)小説を読む楽しさを味わえる一冊でした。こういう結末でなくてもよかったような気もするけど(大きなことが何も起こらないないまま、日常生活を描いたというだけでも私は十分でした)、こういう展開、こういう結末でも文句はありません。湯本香樹実の小説はどれもそれぞれにいいなと思いますが、私は今のところ、これがいちばん(というか群を抜いて)好きだな。友だちに送ってあげようかな、と思いました。
                                             
by noma-igarashi | 2019-02-16 17:13 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

12月中に読んだ本

明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち (幻冬舎文庫)

山田 詠美/幻冬舎

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『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』山田詠美 評価:★★
(あらすじ)ひとつの家族となるべく、東京郊外の一軒家に移り住んだ二組の親子。それは幸せな人生作りの、完璧な再出発かと思われた。しかし、落雷とともに訪れた長男の死をきっかけに、母がアルコール依存症となり、一家の姿は激変する。

山田詠美、こんな小説も書くんですね。「長男」が死んでから(あらすじ参照)、「母」がアルコール依存症になり、急につらい話になってしまいました。私には子どももいないし、こんな家族を持つこともまず考えられず、自分には起こりえない話なんだけど、それでも自分の身に引き寄せて考えてしまう――というのが小説というものの持っている力だな、と思いながら読みました。

去年の冬、きみと別れ

中村 文則/幻冬舎

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『去年の冬、きみと別れ』中村文則 評価:★★ 
(あらすじ)ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。調べを進めるほど、事件の異様さにのみ込まれていく「僕」。そもそも、彼はなぜ事件を起こしたのか? それは本当に殺人だったのか? 真相は迷宮入りするかに思われたが―。

随所にいろいろな仕掛けのされた作品。私は多分、大枠的なところしか読み解けていないだろうな。それでも十分面白かったですが、細部まで読み解けていないことから、評価は★★としました(全部わかれば、やったぜとばかりに「★★★」にするのですが)。時間が経ってから、もう1回、読み返してみようかな。

母 ―オモニ― (集英社文庫)

姜尚中/集英社

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『母 ―オモニ―』姜尚中 評価:★★★
(あらすじ)太平洋戦争が始まる年、許婚の父を訪ねて18歳の母は単身、朝鮮から日本に渡った。熊本で終戦を迎え、「在日」の集落に身を寄せる。そして、祖国の分断。正業に就くことも祖国に還ることもできない。他の在日一世たちとともに、貧困に喘ぎながら必死に日々を過ごす。

在日二世の著者が母親を描いた小説。今どきこういう本を読んで「よかった」と評価していると、「パヨク」とか「反日」とか言われるんですかねえ。バカみたい。アマゾンの読者の感想は、高評価のものばかりのように思えましたが、試しに星1つのところをクリックしてみたところ、ひどい内容のものが並んでいました。そして、高評価の人の感想は「役に立った」の人数が5、6人程度なのに、星1つのほうは、「役に立った」が山ほど。なんだかねえ。

死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)

乙一/幻冬舎

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『死にぞこないの青』乙一 評価:★★
(あらすじ)飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現われた。

11月に初めて読んだ『暗いところで待ち合わせ』が面白かったので、もう少し読んでみることにした作者。この作品も全然ホラーじゃなかったです。もっと救いようのない展開になったほうが、小説としては高評価になるのかもしれないけど、そうならないところにホッとしました。作者さん、きっといい人なんだろうな。気持ちのいい読後感でした。
by noma-igarashi | 2019-01-06 21:37 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

2018年に読んだ本ベスト3

年の初めということで、「2018年に読んだ本ベスト3」を選んでみるしてみることにしました(ただ、実は「12月に読んだ本」をまだアップしていないのですが…)。あくまでも「2018年に読んだ本」であって、「2018年に刊行された本」というわけではないので、その点はなにとぞご了承を。

人質の朗読会

小川 洋子/中央公論新社

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人質の朗読会(小川洋子)

2月に読んだ本です。そのときの感想はコチラ
(あらすじ)南米で起きたテロ事件で、人質の日本人8人が全員死亡する。遺された盗聴テープには、人質たち一人ひとりが朗読する、自らの人生の「物語」が録音されていた。

これはすごくよかった! 面白かったです。確認したら、2011年の刊行なんですね。もっと早く読んでいればよかったなと思う反面、2011年というと、現実があまりにも想定外で、異世界に放り込まれたような感覚がつきまとっていたため、小説を読む気があまりしなかったんですよね。だから、今になって読んでよかったのかもしれないなとも思います。

砂の王国(上) (講談社文庫)

荻原 浩/講談社

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『砂の王国(上下)』荻原浩

4月に読んだ本です。そのときの感想はコチラ
(あらすじ)全財産は、3円。私はささいなきっかけで大手証券会社勤務からホームレスに転落した。段ボールハウスの設置場所を求め、極貧の日々の中で辿りついた公園で出会った占い師と美形のホームレスが、私に「新興宗教創設計画」を閃かせた。

荻原浩の小説は当たり外れがあるのですが、これは「当たり」でした。主人公がどん底から這い上がっていく上巻も、そこから転落(といっていいのかな?)していく下巻も、それぞれに読みごたえがありました。私が読んだのは文庫本なんですが、単行本で出たのはこれも2011年なんですね。へええ。

暗いところで待ち合わせ

乙一/幻冬舎

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『暗いところで待ち合わせ』乙一

11月に読んだ本です。そのときの感想はコチラ
(あらすじ)視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった――。

次点の2冊(下記参照)と迷ったのですが、2018年に初めて読んだ作家さんも混ぜたいなということで、この本を選びました。単行本の刊行は2002年。けっこう前なんですね。名前に特徴のある人だから、存在は知っていたものの、ホラーの人だと思っていたので、敬遠しておりました。もったいなかったな。12月にももう1冊読んで(また感想を書きますね)、それも面白かったです。

【次 点】
『バビロンに行きて歌え』池澤夏樹

『あの川のほとりで(上下)』ジョン・アーヴィング


by noma-igarashi | 2019-01-04 22:33 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

11月中に読んだ本

暗いところで待ち合わせ

乙一/幻冬舎

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『暗いところで待ち合わせ』乙一 評価:★★★ 
ホラー小説を書く作家さんだと思っていたので、これまでは興味がなかった…というか、敬遠していました。が、ブックオフの100円均一の中に混じっていて、試しに手に取ってみたところ、カバーに書かれた筋書きが面白そうで。目の見えない女性の家に、殺人事件の容疑者が逃げ込み、音を立てないようにひそんでいる--って、興味をそそられる設定ですよね。読んでみたら面白かったです! 全然怖くなかったし。評価は迷わず星3つ。これならほかの作品も読んでみようかな。

音楽と沈黙 1

ローズ トレメイン/国書刊行会

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音楽と沈黙 2

ローズ トレメイン/国書刊行会

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『音楽と沈黙(1・2)』ローズ トレメイン 評価:★★ 
1629年、美貌のイギリス人リュート奏者ピーター・クレアがデンマーク王クレスチャン4世の宮廷楽団に招かれ、コペンハーゲンのローセンボー城に到着する。王はリュート奏者に親友ブロアの面影を重ねて寵愛する。一方、王の妻キアステンは王への不満をつのらせ愛人との官能の日々を送っている。やがてピーターはキアステンの侍女エミリアと恋に落ちる。しかし二人には数多の試練が待っていた―― とまあ、カバー裏のこんな紹介文を読み、きっと波乱万丈の大作なんだろうなと、わくわくしながら読み始めました。

しかしながら、史実に基づいているからなのかどうか、それほど波乱万丈ではなかったです。むしろ淡々と物語が進み、事件らしきものも起きるには起きるのだけど、さほどドキドキしないまま、淡々と進んでいくばかり。ごめんなさい、私はイマイチでした。

口笛の上手な白雪姫

小川 洋子/幻冬舎

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『口笛の上手な白雪姫』小川洋子 評価:★★ 
短編集。いいなと思う作品もあれば、普通かなという作品もあり、評価は星2つ。

偽姉妹 (単行本)

山崎 ナオコーラ/中央公論新社

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『偽姉妹』山崎ナオコーラ 評価:★★★ 
私、お姉さんたちとは別に、姉妹になりたい人ができたの――まったく新しい家族のつくり方を模索する、山崎ナオコーラのポップで自由な家族小説! という紹介文にあるとおり、「自由な家族小説」。意欲的な作品だなと思いました。
by noma-igarashi | 2018-12-19 22:36 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)

10月中に読んだ本

女流 林芙美子と有吉佐和子 (集英社文庫)

関川 夏央/集英社

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『女流 林芙美子と有吉佐和子』 (関川夏央) 評価:★★ 
この写真(↑)は文庫本ですが、図書館で借りた単行本を読みました。林芙美子はまあまあ興味があるという程度、有吉佐和子は今ひとつピンとこないのだけど(でも読んだことはあります。『恍惚の人』とか『複合汚染』とか)、関川夏央の本なら読んでみようかな、と思いまして。それなりに面白かったです。

そうか、「笑っていいとも」で友だちコーナーを独占したのは、有吉佐和子だったよねえ。そのエピソードも出てきて、懐かしかったです。昭和の一コマ。私は見てないけど、ずいぶん話題になりました。

しっぽちゃん (角川文庫)

群 ようこ/KADOKAWA/角川書店

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『しっぽちゃん』(群ようこ) 評価:★★ 
犬や猫、爬虫類など、しっぽを持つ生き物を飼っている人々の日常を描いた短編集。面白かったです。

風の牧場

有吉 玉青/講談社

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『風の牧場』(有吉玉青) 評価:なし
上記『女流』を読んだばかりだったので、試しに読んでみました。が、ごめんなさい、ちょっとひどかった。小説を読んでいて、主人公に嫌悪感を抱いてしまったのは初めてかも。ゆえに、評価なしで。

紙の月 (ハルキ文庫)

角田 光代/角川春樹事務所

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 『紙の月』(角田光代) 評価:★★
わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花四十一歳。二十五歳で結婚し専業主婦になったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだったーー。というような小説。面白かったです。面白かったですが、できればもう一声、主人公を自分に引き寄せて、はらはらしながら読みたかったかな。そういう小説は、感情移入しすぎると疲れるというかツライんですが、そこまでさせる作品はやはりすごいと思うので。
by noma-igarashi | 2018-12-18 00:20 | 映画・TV・本など | Trackback | Comments(0)


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