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フィギュアスケートについて、書きたいことはまだいろいろとあるのですが、ひとまずオペラの話題に戻ります(フィギュアの話題は週1くらいで)。延び延びになっていた「この人がこんな役もあんな役も」シリーズ、今回はキャスリーン・バトルを取り上げます。手持ちのDVDではメトロポリタン歌劇場「魔笛」でパミーナを、ザルツブルグ音楽祭「ドン・ジョヴァンニ」でツェルリーナを演じています。
キャスリーン・バトル/Kathleen Battle ソプラノ、1948年アメリカ生まれ くわしいプロフィール 魔笛 収録:1991、メトロポリタン歌劇場 指揮:ジェイムズ・レヴァイン 演奏:メトロポリタン歌劇場管弦楽団 タミーノ:フランシスコ・アライサ パミーナ:キャスリーン・バトル 動画はこちら 夜の女王とパミーナ 3人の童子とパミーナ 上記「くわしいプロフィール」でリンクしているWikipediaの記事を読むと、キャスリーン・バトル、実際にはなかなか気難しい人物のようですが、舞台で見る分にはとてもかわいい。ただ、「魔笛」の話題のときにも少し書いたように、かわいい歌手がパミーナを演じるのは、個人的に今ひとつ好きではありません。なんだか甘すぎるお菓子みたいに感じられてしまうんです。 話の途中で善悪がねじれてしまうせいで、夜の女王とザラストロの板ばさみになって悩んだり、タミーノと一緒に試練を受けたりはしますけど、パミーナは基本的にかわいいお姫様ですよね。なんたって、王子と名乗る若者が自分を救いにやってくる、とパパゲーノに教えられただけで、うっとりして恋に落ちてしまうんですから。 タミーノはタミーノで、パミーナの肖像をひと目見ただけで好きなってしまいますが、パミーナのほうは肖像を見てもいないんですから、上を行っているような気が…。お姫様サイドからすると、顔ではなくて「自分を救いにくる」というところがポイントなんでしょうかね。なんにしても、パミーナというのは、自分を救いにくる王子にうっとりする役柄なわけで、それをかわいい女性に演じられると、ちょっとくどい、というのが私の意見なのでした。 キャスリーン・バトルのように濃いかわいらしさには、後述「ドン・ジョヴァンニ」のツェルリーナみたいな、かわいらしさがしたたかさにつながるような役柄のほうが、断然、似つかわしいと思います。バトルのツェルリーナは大好き。 (ツェルリーナについては、明日以降に書きます) ----------------------------------------------- ドン・ジョヴァンニ 収録:1987年、ザルツブルグ音楽祭 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン 演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ドン・ジョヴァンニ:サミュエル・レイミー ツェルリーナ:キャスリーン・バトル というわけで、このツェルリーナ役のバトルはとてもいいです。特に、ドン・ジョヴァンニとの二重唱「手に手をとりあい」での表情がすばらしい(本来は歌を褒めるべきなんでしょうけど)。ここはもう、かわいらしさ全開でOKです。そうでなくっちゃ。 惜しむらくは、このDVDのドン・ジョヴァンニ(サミュエル・レイミー)が、二枚目タイプのドン・ジョヴァンニではないということ。いや、私、レイミーは好きなんですけどね。だからといって、彼が美男だとは思わないので。 レイミー演じるドン・ジョヴァンニは、口八丁手八丁で女性を口説くタイプだと思います。特別にカッコいいわけでもないのに、なぜか女性がころっと騙されてしまうタイプのプレイボーイって、現実にもいますよね。調子のいいことばかり言うタイプのドン・ジョヴァンニを好演していると思います(そのくせ、捨てた女には冷酷なところがまたGOOD)。 ただ、バトルのようにかわいいタイプのツェルリーナは、正統的な二枚目のドン・ジョヴァンニと組み合わせたほうが映えると思うんです。そのほうが、ドン・ジョヴァンニに騙されているようでありながら、実はツェルリーナのほうでも彼を誘惑しているのかも…みたいな雰囲気が際立つような気がします。とはいえ、レイミー演じるドン・ジョヴァンニとバトルの組み合わせも、狐と狸の化かし合い、みたいなやり取りが楽しめますけどね。
by noma-igarashi
| 2006-07-03 23:35
| オペラ・音楽
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Comments(2)
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nazohiko at 2006-07-05 13:34
「濃いかわいらしさ」というの、私も実感できます。
「素朴な村娘」と紹介されることが多いツェルリーナですが、 実態は、看板にかなり偽りがありますよね。 カラヤンがバトルを選んだのは、慧眼だったと思います。 あと、フルラネットの演じたレポレロは文句なしに敢闘賞です。
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NOMA-IGA
at 2006-07-05 19:55
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ちょうどよかった。この「ドン・ジョヴァンニ」じゃなくて、ちょっと前に話題にしたミラノ・スカラ座の「ドン・ジョヴァンニ」のDVD(ムーティ指揮、ドン・オッターヴィオがアライサで、ドンナ・アンナがグルベローヴァ、ドン・ジョヴァンニはトーマス・アレン)の話なんですが、謎彦さん、お持ちで?
いえね、「アッティラ」見たさに、ミラノ・スカラ座のDVD12枚セット(全部で8900円!)というのを注文したところ、「ドン・ジョヴァンニ」も含まれていて、ダブっちゃうんです。なので、ミラノ・スカラ座の「ドン・ジョヴァンニ」、もしお持ちでなかったら、差し上げますけど、いかが?
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