111.31KV620日記 |
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「愛のアランフェス」のことを思い出したはずみで、少女マンガの話をもうちょっと続けたくなってきたので、久しぶりに「オペラに関係した少女マンガ」の話題をいってみます。この際だから、フィギュアスケートの話も多少絡めてみます。
「オペラ」「少女マンガ」「フィギュア」という3つの話題を同時にこなせるネタがあるのか? あるんです!(こじつけだけど)。ズバリ、それは「トスカ」です。少女マンガでは、「動物のお医者さん」で、主人公ハムテルの母親(オペラ歌手)がトスカを演じるシーンが出てきました。 年齢的にいって、私は「動物のお医者さん」を読んでいるような世代ではないんですが、わけあって読みました(いや、たいした理由ではないんですが)。もう15年ぐらい前になるかな(調べたら92年でした)、女性誌『CREA』誌上で、「大アンケートによる永遠の少女マンガベスト100」という特集が組まれ、興味を持って買ってみたところ、ベスト20は以下のようになっていました。 1位 ポーの一族 萩尾望都なんか、どれも懐かしいですねえ…! 今、こういうアンケートをとったら、選ばれる作品はだいぶ違ってしまうのかしら。92年時点でも、すでに懐かしい作品が多く、私もよく知っているもの(実際には読んでいなくても)ばかりでしたが、そんな中で唯一、まったく知らなかったのが7位の「動物のお医者さん」でした。他の19作品は、顔ぶれも順位も納得できたので、「動物のお医者さん」は7位に選ばれる価値のある作品なんだろうなと思われました。それで興味を持ち、試しに買ってみたという次第。ええ、面白かったです。 (ここからしばらくは「トスカ」は知っているけれど「動物のお医者さん」は知らない人向け) さて、「動物のお医者さん」は1話ずつ読みきりの作品で、主人公は北大の獣医学部に通うハムテル(公輝)。通常はハムテルの大学生活の話が中心なのですが、「トスカ」が出てくる回は、ちょっと趣きが違いました。 ふだんは外国に住んでいるハムテルの母親(オペラ歌手)が帰国し、オペラ「トスカ」の舞台に立つことになり、ハムテルたち獣医学部の学生もエキストラ(カヴァラドッシの銃殺刑を執行する兵士たちの役)として出演する、というもの。ただ、低予算の舞台で、しかも事前の打ち合わせも十分でなかったため、いろいろとトラブルが起きて大混乱、という展開です。 たとえば、トスカがスカルピアを殺すシーンで、ナイフが用意されていなかったため、仕方なく絞め殺すことにしたり。カヴァラドッシが銃殺されるシーンで、兵士役のハムテルたちは、カヴァラドッシとトスカのどちらを銃殺すればいいのかわからず、間違ってトスカのほうに銃を向けたり。極めつけは最後のシーンで、「主役と一緒に退場するように」とだけ指示された兵士役のハムテルたちは、トスカがサンタンデロ城から身を投げるのを見て、「一緒に退場しなきゃ!」と、同じように次々と飛び降りて退場してしまうのでした。ちゃんちゃん。 (でも、兵士たちは普通、トスカより先に退場するものですよね?) (ここからは「動物のお医者さん」は知っているけれど「トスカ」は知らない人向け) 「トスカ」のストーリーは、「動物のお医者さん」の中でも説明されていましたが、よりくわしく知りたい場合はこちらをご覧ください。ここでもストーリーに沿って、動画をいくつかご紹介してみますね。いろんな舞台の動画が入り混じっているので、誰だ誰かわかりにくいかもしれませんが、「トスカ」の主な登場人物は3人だけです。 トスカ:歌姫。主役らしい着飾った女性が登場したら、それが必ずトスカです。 カヴァラドッシ:トスカの恋人。若い男性が登場したら、それがカヴァラドッシです。画家なので絵を描いていたり、拷問されて血まみれになって出てきたり、死刑を宣告されて悲嘆に暮れていたり、銃殺されたりします。 スカルピア:警視総監。いかにも敵役っぽい、ちょっと老けた扮装の男性が出てきたら、それがスカルピアです。カヴァラドッシを拷問するように命じたり、トスカに言い寄ったり、トスカに殺されたりします。 オペラ「トスカ」は、画家カヴァラドッシが教会で絵を描くシーンから始まります。彼が描いているのは聖母マリアで、たまたま教会で見かけた美しい女性をモデルにしています(動画)。そこへトスカがやってきて、カヴァラドッシとデートの約束をしたり、聖母マリアの絵に嫉妬したりします(動画)。 さて、トスカの登場と前後して、政治犯の友人アンジェロッティが教会に現れ、カヴァラドッシは逃亡中の彼を匿います。それをトスカに隠そうとしたため、聖母マリアの絵のこともあって、トスカに浮気を疑われます。 政治犯アンジェロッティを追ってきた警視総監スカルピアは、トスカの嫉妬心を巧みに利用し、カヴァラドッシを拘留します。しかし、カヴァラドッシは拷問にかけられながらも、頑として政治犯アンジェロッティの居場所を白状しません。そこで警視総監スカルピアはトスカを呼び、カヴァラドッシの血まみれの姿を彼女に見せます(動画)。 トスカは耐え切れずにアンジェロッティの居場所を教えますが、その結果、カヴァラドッシは政治犯を匿った罪で、死刑を宣告されてしまいます。警視総監スカルピアに、カヴァラドッシの命を助けてほしいと訴えるトスカ。それに対してスカルピアは、交換条件としてトスカのからだを求めます。なぜ自分がこんな運命に見舞われるのかと、トスカは悲嘆に暮れます(動画 1964年、マリア・カラス)。 カヴァラドッシを救うために、トスカはやむなくスカルピアの交換条件を飲むことにします。しかし、カヴァラドッシ逃がすための書類をスカルピアが書いている間に、テーブルのナイフが目に入り、トスカはそれをそっと手に取ります。そして、スカルピアを刺し殺し、彼が書き上げたばかりの書類を持って逃げ出します。 そのころ、夜明けに処刑を控えたカヴァラドッシは、サンタンジェロ城の暗い牢獄でトスカを思っていました(動画)。そこへトスカが現れ、処刑は見せかけのもので、彼が助かること、そのためにスカルピアにからだを要求され、彼を殺してしまったことなどを話します(動画)。 その後すぐに、兵士たちが現れ、カヴァラドッシの刑が執行されます。カヴァラドッシは死んだふりをした後、その場に誰もいなくなってから、トスカと一緒に逃げるはずでした。ところが、トスカが駆け寄ってみると、カヴァラドッシは本当に死んでいました。スカルピアは口先の約束をしただけで、カヴァラドッシを助けるつもりなどなかったのです。 そのとき、スカルピアの死体が見つかり、兵士たちがトスカを捕らえにやってきます。逃げ切れないと悟ったトスカは、サンタンジェロ城から身を投げます(動画)。そして、幕。 ---------------------------------------- フィギュアスケートでよく使われるのは、「トスカ」の中の「星は光りぬ(星はかがやき)」という歌。トリノ五輪でプルシェンコが滑ったのもこの曲でした(SP、エキシビション)。 ◆プルシェンコの「トスカ」(2006年トリノ五輪エキシビション)。 ほかにはこんなのが…。いや、もう、「星は光りぬ」攻め(汗)。誰かひとりくらい、トスカのアリア「歌に生き、恋に生き」で滑らないの? ◆ステファン・ランビエールの「トスカ」(2005年世界選手権エキシビション) ◆アレクセイ・ヤグディンの「トスカ」(2000年世界選手権エキシビション) ◆イリーナ・スルツカヤの「トスカ」(2002年世界選手権フリー) ◆ミッシェル・クワンの「トスカ」(2004年全米選手権フリー) オペラのこのシーンはどんなふうなのか。日本語の字幕付きで見たい場合は、こちらの動画をどうぞ。歌に出てくる「彼女」というのが、彼の恋人であるトスカのことです。詩の内容が少々大げさな感じがしますが、この人、処刑前夜なので、やむを得ません。 ◆日本語字幕付き「トスカ」 さらに、こんな動画も見つけました。デル・モナコ(6月17日付けの「アイーダ」の記事参照)が「星は光りぬ」を歌っています。ただ、1975年の映像にしては、ものすごく見づらい。たぶん、テレビで放送していたのをビデオで録画したのでは。75年って、我が家にはまだビデオがなかったです。ラストコンサートの映像だとか。 ◆マリオ・デル=モナコの「トスカ」
by noma-igarashi
| 2006-06-24 18:48
| 映画・TV・本など
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