111.31KV620日記 |
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無事に100首詠み終えたので、以下にまとめてみました。完走報告に書いたように、オペラ「コシ・ファン・トウッテ」を材にしていますが、途中からストーリーとは関係なく、登場人物の気持ちやモデルにした人物のキャラクターなどを考えながら詠んでいきました。
「コシ・ファン・トウッテ」あらすじ 登場人物 Fiordiligi(soprano)フィオルディリージ:ナポリの貴婦人、姉娘 Dorabella(mezzosoprano)ドラベッラ:フィオルディリージの妹 Despina(soprano)デスピーナ:姉妹に仕える小間使い Guglielmo(basso)グリエルモ:フィオルディリージの恋人 Ferrando(tenore)フェルランド:ドラベッラの恋人 Don Alfonso(basso)ドン・アルフォンソ:老哲学者 001:春 春の字の裾のひろがり手を取られ今すぐにでも踊り出したい Dorabella 002:暇 眠そうな雌雛のとなりに暇そうな雄雛が並んでいる昼下がり Dorabella 003:公園 公園の木々を鳴らして吹きわたる風 青空の歌う鼻 Fiordiligi 004:疑 思慮深い音色と思うバスの音がときどき疑り深く聴こえる Fiordiligi 005:乗 挑発に乗るのは癪だが彼のあの訳知り顔は我慢ならない Ferrando 006:サイン 誓約にサインを自慢の稀覯書は賭けに勝ったら僕がいただく Ferrando 007:決 ライバルのほうが決まってカッコいい少年漫画のような現実 Guglielmo 008:南北 南北が逆さになった地図帳にオーストラリアはハートのかたち Dorabella 009:菜 似ていても姉は果物、妹のわたしは野菜ぐらいに違う Dorabella 010:かけら 太陽のかけらのようだ「太陽」の足もとにある斜めの点は Guglielmo 011:青 青臭いことばを相手に熱くなる所詮はよく似た大人気のなさ Don Alfonso 012:穏 水鳥を驚かそうと投げ入れた石 穏やかな日々が崩れる Fiordiligi 013:元気 思い出す人が元気になるような笑顔で見送りたかったけれど Dorabella 014:接 純粋と世間知らずは紙一重 どう接しても疲れるばかり Despina 015:ガール 背の翼ふいに失うシャガールの絵の中にいる夢からさめて Fiordiligi 016:館 チュチュを着た幼い私が今もいる古びた写真館のウインドウ Fiordiligi 017:最近 最近は彼女のほうが熱心に背番号10を応援している Ferrando 018:京 どうしても東京特許ときゃ局としか言えなくてまた笑われる Guglielmo 019:押 どのボタン押せばいいのか紙コップ入りコーヒーを買う難しさ Guglielmo 020:まぐれ 運命といえばたちまち悲恋めく話もまぐれと呼べば喜劇に Despina 021:狐 なつかしい影絵の遊び指と指あわせて狐や犬をつくった Dorabella 022:カレンダー てのひらを押し当ててみるカレンダーはがした後の壁の白さ Dorabella 023:魂 魂に棲みつく鬼にうっかりとそそのかされる瞬間がある Don Alfonso 024:相撲 負けん気の強いいもうと指相撲するときさえも真剣になる Fiordiligi 025:環 哀しみが空の青さにとけるまでつぶやいてみる 水の循環 Fiordiligi 026:丸 正露丸ふくんだ口でキスをするぐらい馬鹿げた賭けの始まり Ferrando 027:そわそわ 付け髭で変装しても結局はそわそわしすぎてすぐにばれそう Guglielmo 028:陰 陰鬱な顔つきなんて馬鹿らしい片目でこっそり楽しめばいい Despina 029:利用 再利用できないままにためこんだリボンや包み紙があふれる Dorabella 030:秤 材料をいちいち秤に載せないと慣れないお菓子づくりは不安 Fiordiligi 031:SF SFにさほど興味はないけれどブラッドベリなら好きでよく読む Ferrando 032:苦 微苦笑を誘われるのは疑いを知らない若者たちの一途さ Don Alfonso 033:みかん ぼんやりとみかんの皮をむいていた答えを考えあぐねるうちに Fiordiligi 034:孫 孫というほどよい近さの設定がもっともらしいルパン三世 Ferrando 035:金 運ばれてくる香を頼りに夕まぐれ金木犀をさがして歩く Fiordiligi 036:正義 カッコよく決められるまで繰り返す正義の味方の変身ポーズ Guglielmo 037:奥 奥付は昭和の日付け図書館の書架に黄ばんだ向田邦子 Fiordiligi 038:空耳 「空耳」を翻訳サイトで外国のことばに訳す なんだか違う Dorabella 039:怠 大あくびしながら怠惰をまき散らす猫の傍らいつかまどろむ Despina 040:レンズ 人生を斜(はす)に見たがる者たちが魚眼レンズの眼鏡を磨く Don Alfonso 041:鉛 絵の具ならいちばん早く減るものを色鉛筆は白だけ長い Dorabella 042:学者 適当な節をつけては口ずさむ生真面目そうな学者の名前 Despina 043:剥 付け髭が剥がれかけても慌てずに何もなかった顔で押し切れ Ferrando 044:ペット ため息で倒れかねない空っぽのペットボトルのような心境 Fiordiligi 045:群 よどみなく鉄道マニアが諳んじる駅名たちまち群馬を抜けて Guglielmo 046:じゃんけん じゃんけんの仕方が違う外国の人に掲げたグーの気まずさ Dorabella 047:蒸 窓という窓の向こうに寝乱れた家族がいそうな蒸し暑い夜 Despina 048:来世 熱っぽい言葉で口説く将来が無理なら来世を誓い合おうと Ferrando 049:袋 片方をなくしてしまった手袋のもう一方のようにさみしい Fiordiligi 050:虹 とりたてて不幸せではないけれどもう何年も虹を見ぬまま Despina 051:番号 あまたある数字のなかで世界一うつくしいのはケッヘル番号 Ferrando 052:婆 濁点があるかないかの違いではない母と婆、父と爺とは Don Alfonso 053:ぽかん 漫画ならぽかんと書いてあるような表情をして見入ってしまう Dorabella 054:戯 どことなく自分に似ている一匹が鳥獣戯画の片隅にいる Guglielmo 055:アメリカ アメリカは世界の果てにあるのだと思った世界地図を見るたび Dorabella 056:枯 一面のひまわり畑いっせいに夏の終わりに枯れ果ててゆく Ferrando 057:台所 さりげなく台所へと逃げ込んで知られたくない涙をぬぐう Fiordiligi 058:脳ぬりつぶし丸めて捨てたひとことがむしろ脳裏に刻み込まれる Dorabella 059:病 ときどきは臆病になる握手するつもりで出した手をごまかして Guglielmo 060:漫画 単純に四コマ漫画にしてみればあっさり笑い飛ばせるだろう Don Alfonso 061:奴 いい人で片づけられてしまうより嫌な奴だと言われてみたい Guglielmo 062:ネクタイ 男装のジョルジュ・サンドの胸元に結べば似合いそうなネクタイ Dorabella 063:仏 恋愛の機微が身につくわけじゃない仏和辞典をいくら引いても Ferrando 064:ふたご うっかりと「ふたご」と読んで笑われる東急二子玉川駅を Fiordiligi 065:骨 あっけなく吹き飛ばされる安物の傘の骨ほどもろい決心 Don Alfonso 066:雛 見目のよい囃子のひとりを競い合い雌雛も官女も髪ふりみだす Despina 067:匿名 ややこしい書類にサインするときに匿名希望で済ませられたら Guglielmo 068:怒 くちびるを真一文字に引き結ぶ怒るつもりが泣きたくなって Dorabella 069:島 真剣に迷うところが君らしい無人島に持って行きたい本を Ferrando 070:白衣 白衣より黒衣の姿がまず浮かぶブラック・ジャックの名前を聞いて Guglielmo 071:褪 色褪せたシャツを着こなす人といて真新しさが恥ずかしくなる Dorabella 072:コップ 紙コップ重ねるほどに傾いてゆく だんだんと気持ちがかしぐ Fiordiligi 073:弁 注釈の小さな文字を読み上げているかのような弁解を聞く Despina 074:あとがき あとがきの謝辞に連なる名の中にあなたと一字違いの学者 Fiordiligi 075:微 悲劇ほど見てきたようにいきいきと微に入り細にわたって話す Don Alfonso 076:スーパー スーパーと頭に付いた語の多さ英語の辞書で「super」を引く Dorabella 077:対 バリトンとメゾソプラノが対になる習いを逆手に取る作曲家 Guglielmo 078:指紋 車窓越しに手と手を重ねたその後のガラスに残る互いの指紋 Ferrando 079:第 指揮棒に合わせて第一バイオリンからゆっくりと奏で出される Fiordiligi 080:夜 千一夜語り続けたお妃の薄いヴェールの下のくちびる Despina 081:シェフ マエストロという語を思い出せなくてうっかりシェフと口にしていた Guglielmo 082:弾 卵だと思って抱いていたものが実は爆弾だったとしたら Fiordiligi 083:孤独 何日もレスがないまま放られたブログのコメントぐらいに孤独 Dorabella 084:千 頼りなく腕を広げているかたち気の弱い日に見る「千」の字は Fiordiligi 085:訛 フランス語訛りだということにする治りきらない君の鼻声 Ferrando 086:水たまり 紙の辞書を引く面白さ「水玉」と「水たまり」とが仲よく並ぶ Dorabella 087:麗 麗しい伯爵夫人のご機嫌をたちまち斜めに変える不作法 Ferrando 088:マニキュア 手袋でどうせ隠れてしまうのに丹念にマニキュアを塗りゆく Despina 089:泡 何のために中座したやら運ばれてきたカプチーノの泡しぼみゆく Guglielmo 090:恐怖 しんしんと恐怖や怒りが降り積もる「ゲルニカ」と題された絵画に 091:旅 君はまた旅に出ている1ページずつ気に入りの本を繰りつつ Ferrando 092:烈 痛烈なことばの意味を骨抜きにするゆるゆるとした節回し Don Alfonso 093:全部 パンプスが湿ったままでいったんは着ていた服を全部着替える Despina 094:底 飲み終えてカップの底の蝶の絵につい口許をゆるませており Fiordiligi 095:黒 白黒をつけないままに済ますのが大人の知恵と耳打ちされる Guglielmo 096:交差 交差した男女四人の相関図見てさえわかりづらい筋書き Don Alfonso 097:換 最後には辻褄が合う物語「嫌い」が「好き」に置き換えられて Fiordiligi 098:腕 おだやかな小春日和の後日談 あなたの腕を枕に眠る Dorabella 099:イコール イコールでどうにかつないだ結末のモーツァルト的くすくす笑い Ferrando 100:福 キスアンドクライの君に幸福な笑顔が戻るまでの道のり Guglielmo
by noma-igarashi
| 2010-12-04 16:35
| 題詠100参加作品
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