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111.31KV620日記


オペラ、フィギュアを中心に、そのとき興味のあることがらを話題にしています。
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アイーダ・オン・アイス(28)――解決編③

どうしようかと迷いましたけど、UPしておきます。長らく放ったままになっていた「アイーダ・オン・アイス」の解決編③、これが最終回になります。あまり気持ちよく笑えなかったらごめんなさい。もっと早目にUPしておけば、こだわりなく読んでいただけたのに、バタバタしていて好機を逃してしまいました。
長期間にわたっておつきあいいただき、ありがとうございました。

【今回の出演者】 ラダメス:高橋大輔、アイーダ:中野友加里、アムネリス:安藤美姫、祭司長:エフゲニー・プルシェンコ、祭司たち:アメリカ男子、妄想ツアーの旅行客(お嬢さん方):ダイスケの母と愛人連合、ほか

※この作品はフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。
※個人ブログのお遊びですので、そのつもりでお読みくださるようお願いします。




古代エジプトの都メンフィス――。
墓所のそばに祭司長や祭司たちが集まり、今しもラダメスの刑を執行しようとしている。


祭司長プル:これより刑を執行する。
祭司ライサ:ラダメス、墓所に入るんだ。
ラダメス高橋:……。 (おとなしく従う)
祭司長プル:よし、蓋を閉じろ。
祭司ライサ (祭司たちに) おまえたち、しっかり蓋をしろよ。
(祭司役のアメリカ男子たち、力を合わせて墓所の蓋を閉じる

祭司ライサ:祭司長、刑の執行が完了しました。
祭司長プル:ご苦労。では、バンクーバーで会おう。 (立ち去る)
祭司ライサ:よし。じゃあ、俺たちも行くぞ。 (祭司たちも立ち去る)

ラダメス高橋 (墓所の中を見回しながら) ああ、ここはなんて暗いんだ。もう二度と日の光を見ることもとない…。アイーダに会うことも二度とない…。僕はここで死を待つのみ…。
(そのとき、奥のほうで何やら動くものが目に入る)
ラダメス高橋:気の迷いか、それとも目の錯覚か…? いや、あれは…?
(しばらく目を凝らしていたラダメス、驚きの表情になる)
ラダメス高橋:アイーダ…! どうして君がここに…!?
アイーダ中野:ラダメス様…。
ラダメス高橋 (駆け寄る) 本当に君なのか? いったいどうして君がここに…?
アイーダ中野:墓所が開いているのを見て、おそらく、このような判決が下されたのだろうと…。ひそかに忍び込んで、あなた様を待っておりました。
ラダメス高橋 (手を取る) なんということだ。アイーダ、君を巻き添えにしてしまった…。こんな場所で、君まで死なせるなんて…。
アイーダ中野:なに寝ぼけたこと言ってんのよ!
ラダメス高橋:は…?
アイーダ中野:脱出しなくてどうするの! 私、そのために待ってたのよ。
ラダメス高橋:だ、脱出……?
アイーダ中野:そうよ。今週末はもうNHK杯じゃないの。アモナズロ役のジュベールも、別れ際に言っていたわ。長野で会おうって。大ちゃんなら、きっとこの苦境を乗り切るだろうって。私、大ちゃん、ジュベール、美姫ちゃん、タカちゃん…。みんなNHK杯に出場する選手ばかりよ。プルシェンコの陰謀がつくり上げた、こんな妄想世界とはさっさと縁を切って、正々堂々とビッグハットで戦いましょう。
ラダメス高橋:で、でも、どうやって抜け出せば…。
アイーダ中野:抜かりはないわ。ダイナマイトを調達してきたから。
アイーダ・オン・アイス(28)――解決編③_e0073856_17361895.jpgラダメス高橋:ダ、ダイナマイト…。
アイーダ中野:これで扉を吹き飛ばせば、楽勝で出られるわ。
ラダメス高橋:………。

そのころ、墓所の上ではアムネリスが祈っている。

アムネリス安藤:ラダメス、どうか安らかに…。イシスの神が、あなたの魂を天国に導いてくださいますように…。
(そのとき、下のほうから声がする)
もろゾフ:ミキ、こんなところにいたのか。 (墓所の上まで登ってくる)
アムネリス安藤:あ、ニコライ。
もろゾフ:「レイクエム」の練習と聞いたから許可したが、なかなか戻ってこないから、ようすを見に来たんだ。
アムネリス安藤:ごめん、予定外に長引いちゃって。でも、ちょうど今、「レクイエム」にぴったりのシーンなの。
もろゾフ:さっさと切り上げて、一緒に来るんだ。
アムネリス安藤:せっかちだなあ…。アムネリスとしては一番いいシーンなのに。
もろゾフ:何を言ってるんだ。「アイーダ」でアムネリスの役をやるなんて、バカバカしいにもほどがある。どうしてダイスケのために、ミキが脇役を引き受けなくちゃならないんだ?
アムネリス安藤:そんなこと言ったって…。
もろゾフ:「アイーダ」のアムネリスなど、ただの脇役。エジプトが舞台で、女王が主役といえばクレオパトラだ。いいか、ミキ。君は「クレオパトラ」を演じるんだ。
アムネリス安藤:はいはい、わかったわよ。

そのころ、2人の足下の墓所では――。

ラダメス高橋:ダイナマイトなんて、大丈夫かな? 危なくないかな?
アイーダ中野:平気平気。さあ、景気よくドカンと吹き飛ばすわよ。
ラダメス高橋:………。
アイーダ中野:あ、その前に、電話しておかなくっちゃ。ミキちゃんが墓所の上にいるはずだから、避難するように伝えるわね。 (ケータイを出す)

そのころ、墓所の上では――。

もろゾフ:ミキ、行くぞ。
アムネリス安藤:はいはい。 (そのときケータイが鳴る) あ、ちょっと待って。電話に出るから。
もろゾフ:長電話するんじゃないぞ。
アムネリス安藤:もしもし――。あ、ゆかりん? え? ちょっと聞こえにくい…。ごめん、電波が途切れちゃうみたいだから、場所を移動するね。
(ケータイを耳に当てたまま、墓所の下まで降りていく)
アムネリス安藤:もしも~し! あ、聞こえるようになった! うん、うん…。わかった。そう、今からダイナマイトで爆破するんだ。ちょうどよかった。もう下まで降りたから、こっちはいつでも大丈夫。うん。じゃあ、気をつけてね。
(ケータイをオフにして、あたりを見回す)
アムネリス安藤:えーと…。あれ? ニコライ、どうしたの?
(もろゾフ、まだ墓所の上にいて、なにやらもぞもぞと身動きしている)
アムネリス安藤:ニコライ、どうしたの? 早く早く。
もろゾフ:動けなくなった…。
アムネリス安藤:えっ? どうして?
もろゾフ:石と石の間に、靴がはさまった。
アムネリス安藤:そんなの、靴を脱げばいいじゃない。
もろゾフ:買ったばかりの靴なんだ。もったいない。
アムネリス安藤:そんなこと言ってる場合じゃないって。危ないから、早く降りてきて。

そこへ、妄想ツアーのお嬢さん方が通りかかる。

お嬢さん1:あら、美姫ちゃんよ。
お嬢さん2;ニコライもいるみたいね。
お嬢さん3:何やってるのかしら。
お嬢さん4:美姫ちゃ~ん、どうしたの~!?

アムネリス安藤:あ、皆さん…! お願い、助けて!
お嬢さん5:いったいどうしたの?
アムネリス安藤:実は…、かくかくしかじか。靴を脱いで今すぐ降りてくるように、ニコライを説得して。
お嬢さん方 (顔を見合わせる)

お嬢さん5(小声で) もしかして、自業自得…?
お嬢さん6 (うなずく) ニコライ、近ごろよけいなことばっかり言ってるから。
お嬢さん7:ほんと、笑って済ませられる範囲を逸脱してるわよね。
お嬢さん8:でも、ここで彼が吹き飛ばされちゃうというのは、妄想とはいってもあんまりな展開じゃない?
お嬢さん9:じゃあ、どうする?
お嬢さん10:とか言ってるうちに、吹き飛んじゃうわよ。

アイーダ中野:大ちゃん、点火するわよ!
ラダメス高橋:う、うん…。
アイーダ中野:よし! 3、2、、1、ファイヤー!
アイーダ・オン・アイス(28)――解決編③_e0073856_17415951.jpg

お嬢さん方:きゃ~!! (耳をふさぎながら)
お嬢さん11:あそこ! 大ちゃんよ、大ちゃん!
お嬢さん12:あ、ゆかりんも…!
お嬢さん13:よかった~! 2人とも、脱出できたのね。
お嬢さん14:それより、ニコライは…?
お嬢さん15:あそこよ、ほら。 (指さす)




アイーダ・オン・アイス(28)――解決編③_e0073856_17461276.jpg

お嬢さん方:………。
お嬢さん1:ま、古代エジプトだし、ミイラ男ふうでいいかもね。
お嬢さん2:ダイスケも無事に脱出できたし、誰も死ななくてよかったわ。
お嬢さん3:そうね、一件落着よ。
お嬢さん4:さて、そろそろ帰りましょうか。
お嬢さん5:そうね。NHK杯が始まっちゃう。

お嬢さん6:見て、夕日がきれい~。
お嬢さん7:なんだか金メダルみたいにも見えるわね。
お嬢さん方:(うなずく)

アイーダ・オン・アイス(28)――解決編③_e0073856_17504981.jpg


(了)
by noma-igarashi | 2009-11-03 17:51 | オペラ・オン・アイス | Trackback | Comments(4)
Commented by ニルギリ at 2009-11-04 19:49 x
一瞬、恐ろしい結末を想像してしまいましたが、死人がでなくてほっとしました(笑)
アイーダ中野もダイナマイトを所持しているとは、ただ者ではありませんね。
NHK杯でも、その起爆力に期待したいと思います。

先日、トリノ・エジプト展を見てきました。
エジプトというと尋常でない威圧感のある石の建造物や石棺などですが、練習してた跡ような彫刻などもあり、あれもこれも人が作ったものなんだなと実感しました。ならば、一見動かせっこないような石でも、人はいつか動かせるのかな?そんな風にも思いますね。

ちなみにミイラの作り方は、腕を前にクロスさせた状態でぐるぐる巻きにするのですが、腕を胸に小さくクロスって、ダイスケがジャンプ跳ぶ時の姿勢?…あ、みんなそうか!(汗)
Commented by 春紅葉 at 2009-11-04 23:31 x
イメージ画像が楽しすぎです。かなりの大怪我のはずなのに、噴出しちゃいました~。

ミイラの腕はクロスなんですね。それで思い出したけど、クレオパトラが(お芝居で)自害する時腕をクロスさせていました。当時の決まりだったのかな。
Commented by NOMA-IGA at 2009-11-05 21:13 x
>ニルギリさん
こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
今回の妄想・オン・アイス、「アイーダ」を演じてみたいというダイスケの言葉に触発されて書き始めたものの、いざ書き終わってみると、肝心のラダメスがほとんど活躍しなかったような…(汗)。
でも、これは原作のせいも大きいです~。ダメダメ男が多いオペラの登場人物の中で(特に主役のテノール)、ラダメスは比較的まともなほうですけど、めざましい活躍をするわけでもないので。ダイスケには、現実の世界で活躍していただきましょう。

トリノ・エジプト展、見に行かれたんですね。ひとくちに古代エジプトといっても、とクレオパトラの時代とツタンカーメンの時代が1000年も離れているのだと思うと、気が遠くなりそう。クフ王だと、さらに1000年ぐらいさかのぼるのかな? すごいなあ、と思うばかりです。
Commented by NOMA-IGA at 2009-11-05 21:15 x
>春紅葉さん
>イメージ画像が楽しすぎです。

こんばんは~。気に入っていただけてうれしいです。
ミイラの画像は、「ミイラ」で画像検索すると、ああいう感じのイラストがたくさん見つかりました。意外に難しかったのがダイナマイト。なぜかエロい写真ばかりヒットして、慌てました。爆発シーンは、実際の事故写真は使いたくなかったので、「超新星爆発のイメージ図」という説明のついているものを使わせていただきました。

ああ、明日からいよいよNHK杯ですねえ! ミイラたち…じゃなかった、選手たちの演技を見るのが楽しみです。
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