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さて、第4幕です。というか、今回は第4幕を始める前の余興です。最後に出てくるクイズの部分を書きたかっただけなんですが、その状況にたどり着くのにずいぶん手こずってしまいました(汗)。
途中に挟み込んだ写真は、ベルギー王立モネ劇場「アイーダ」の舞台写真です。 【今回の出演者】 タカヒコ:小塚崇彦、祭司たち:アメリカ男子一同 ※この作品はフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。 ※個人ブログのお遊びですので、そのつもりでお読みくださるようお願いします。 古代エジプトの都メンフィス。 王宮の近くを歩きながら、祭司キャリエールがコンビニの袋の中身を確かめている。 祭司キャリエール:えーと…。イチゴ味が1つ、レモン味が2つ、メロン味が1つ、氷アズキが2つ…と。大丈夫。ちゃんと人数分、揃ってるな。 そのとき、神殿のほうへ向かう祭司ライサの姿が目に入る。 祭司キャリエール:あれ? エヴァンさんだ。 祭司ライサ、神殿の中に姿を消す。 祭司キャリエール:人にかき氷を買いに行かせておきながら、食べないつもりかな? とけちゃうから、渡してこようっと。 祭司キャリエール、ライサの後を追って神殿に入っていく。きょろきょろとあたりを見回してライサを探していると、祭司長プルと話すライサの声が聞こえてきて、思わず聞き耳を立てる。 そして、3分後――。 祭司キャリエール:ど、どうしよう…。大変なことを聞いちゃった…。 青ざめ、そっとその場を離れる。 その頃――。王宮の一角に設けられた、出演者の控え室では、祭司キャリエールの帰りを待ち、祭司ブラッドリーたちが外のようすをうかがっている。するとそこへ、タカヒコが通りかかる。 祭司ブラッドリー:あれっ、チームジャパンの――。 タカヒコ:あ。こんにちは。 (軽く会釈する) 祭司ブラッドリー:去年のスケアメで優勝した――。ええっと、ジミー君だっけ? タカヒコ:ジミー? 祭司ブラッドリー:違った? タカヒコ:違います。ジミヘンの曲はプログラムに使うけど…。僕、タカヒコです。 祭司ブラッドリー:へえ、日本語では地味な衣装のことを「タカヒコ」というんだ。メモメモ…っと。 (手帳を出してメモする) タカヒコ:………。 祭司ブラッドリー:しかし、なんだね。お互い、こんなところまで来ているというのに、なかなか話す機会がないね。 タカヒコ:ですね。今回、僕は正式な出演者じゃないし…。 祭司ブラッドリー:いま、スティーブン(祭司キャリエール)がかき氷を買いに行ってるところなんだけど、よかったら一緒にどう? タカヒコ:喜んで。…あ、でも、数は大丈夫なんですか? 足りなくならない? 祭司ブラッドリー:平気、平気。エヴァンがどこかに消えたから、その分を食べればいい。 タカヒコ:え、でも…。 祭司ブラッドリー:いいって、いいって。もしもエヴァンが戻ってきたら、スティーブンが我慢するから。 タカヒコ:………。 祭司ブラッドリー:細かいことは気にしない、気にしない。 タカヒコ:あ、じゃあ、スティーブンと分けっこしようかな…。ジュニアの頃から知ってる仲だし…。 祭司ブラッドリー:(タカヒコの肩越しに視線を投げて) お。スティーブンが戻ってきた。 司祭キャリエール:たたた、たいへんだ~! 息せき切って駆けてくる。 祭司ブラッドリー:なんだ? どうしたんだ? タカヒコ:さあ…。 祭司ブラッドリー:なんだって? 祭司長のプルシェンコがそんな計画を? 祭司キャリエール:そうなんだ。ラダメス、つまりダイスケに死刑判決を出せば、ライバルが1人減るって。最初からそのつもりで、ダイスケをラダメス役に抜擢したらしいよ。 タカヒコ:(そ、そうだったのか…) 祭司リッポン:なんかこう、ぞくっとするなあ…。金メダルへの執念がすごいというか…。 司祭キャリエール:エヴァンさんは、死刑判決に協力するように、祭司長に念を押されてた。 祭司アボット:彼、協力するって? 祭司キャリエール:うん、そんな感じだった。 祭司ムロズ:なんとかしなくちゃ…。どうすればいいかな? 祭司キャリエール:ともかくは、ダイスケに教えたら? 祭司アボット:そうだな。彼はいま、投獄されているけど、面会ぐらいはできるんじゃないかな。ね?(ブラッドリーに同意を求める) 祭司ブラッドリー:それはできると思うけど――。まあ待てよ。おれが思うに、プルシェンコが何をたくらもうと、ダイスケは最終的に助かるんじゃないのかな。 祭司アボット:どうして? 祭司ブラッドリー:だって、そもそもこの妄想の作者は、ダイスケのファンなんだろ? 祭司長としてのプルシェンコも、その妄想の中で動いているわけだ。だとしたら、ダイスケを見殺しにするわけがない。プルシェンコに高笑いをさせておいて、最後の最後に、どんでん返しでダイスケを助けるんじゃないの? 祭司ムロズ:ああ~、なるほど! 祭司リッポン:ありえるな。 祭司キャリエール:言われてみれば、そうかも。タカヒコはどう思う? タカヒコ:うん。僕も言われるまで気づかなかったけど、そういう展開になるんだと思う。「妄想・オン・アイス」の出し物で、ダイスケ先輩を見殺しにすることはありえないよ。 祭司ブラッドリー:決まりだな。どんなどんでん返しが用意されているのか、楽しみだ。 一息ついて、全員でかき氷を食べながら――。 祭司ブラッドリー:第4幕は、どういう展開になるんだっけ? 祭司ムロズ: (台本を確認しながら) ええっと――。アムネリスが獄中のラダメスに、裁判になったら弁明するようにと勧める。そうすれば、死刑はまぬがれるだろうから、と。しかし、ラダメスは頑として聞き入れない――。ラダメスは最初から死ぬつもりなんだね。 祭司キャリエール:ふーん…。 祭司アボット:なんか、わかるな。 祭司ムロズ: (台本を確認しながら) 祭司たちの満場一致で、裁判では死刑判決が出る。そっか、僕たちは裁判官でもあるんだね…。ラダメスは生きながら神殿の墓所に閉じ込められ、そこで死ぬのを待つことになる――。 祭司リッポン:すごい刑罰だなあ…。 祭司ムロズ: (台本を確認しながら) 墓所の扉が閉じられてみると、そこにアイーダが待っていた。彼女はこの死刑判決を予想し、一緒に死ぬ覚悟を決めて、ラダメスを待っていたのだ――。 祭司キャリエール:ふーん…。 祭司ムロズ: (台本を確認しながら) 墓所の暗がりで、手を取り合う2人。墓所の外では、ラダメスのために祈るアムネリス。そこで幕――だって。 祭司ブラッドリー:よし、明日のかき氷を賭けよう。 祭司キャリエール:え? 何に? 祭司ブラッドリー:作者がどんな方法でダイスケを助けるつもりなのか、みんなで推理するんだ。当たった奴が、かき氷を独占できる――。どうだ? 祭司リッポン:いいね。乗るよ。 祭司アボット:面白そうだな。 祭司ムロズ:僕も参加する…! ストーリーを聞いてるうちに、名案がひらめいた! タカヒコ: (手を挙げながら) あ、じゃあ、僕も…。特に名案はないけど、やってみる。 祭司キャリエール:そういうことなら、僕も参加するよ。 祭司ブラッドリー:不公平にならないように、各自の回答をフリップに書いて、いっせいに見せ合おう。いいな? 祭司ムロズ:クイズ番組形式だね。いいよ。 祭司ブラッドリー:みんな、書き終わったか? 一同:うん――。 祭司ブラッドリー:よし。じゃあ行くぞ。いっせいのせい! 全員、フリップを表に向ける。 祭司ムロズの回答:僕たちが無罪判決を出す! 本来のストーリーでは、僕たちが死刑判決を出すことになっているわけだから、僕たちが無罪判決を出せばいいだけのことさ。簡単、簡単。 祭司キャリエールの回答:自信ない…。ミステリを読んでも犯人を当てられたことないし…。アムネリスの忠告を聞き入れて、ラダメスが裁判で弁明する――。なんていう答えじゃ、つまんないよね? 祭司アボットの回答:ランビエールが復帰することになり、ダイスケに対するプルシェンコの興味が薄れる。ランビエール対策のほうが忙しくなり、ラダメスの死刑を執行しないまま、うやむやのうちに幕となる。 タカヒコの回答:アイーダに、墓所から抜け出すために必要な道具(穴をあけるためのドリルとか?)をあらかじめ渡しておく。それを使って、2人で墓所から脱出する。 祭司リッポンの回答:考古学者(ヨシムラ先生)がゲスト参加していることには、何か隠された意図があるような気がする。彼が墓を発掘して、2人を助け出すのでは? 祭司ブラッドリーの回答:アダムの回答がちらっと見えたんだが、考古学者が発掘するのは時間がかかりすぎて、墓所まで掘り進んだときには死んでいると思う。しかし、面白いとは思ったので、アイデアを拝借(もしも当たったら、かき氷は山分け)。ダイスケのファンだという例のお嬢さん方、彼女たちも、意味もなくここに来ているわけじゃないと思う。彼女たちが恐るべきパワーでいっせいに穴を掘り、ダイスケを墓所から救い出す。 祭司キャリエール:この中に正解があるのかな? 祭司ムロズ:なかったら――? 祭司ブラッドリー:かき氷は作者のものだ。 一同:………。 (続く)
by noma-igarashi
| 2009-08-06 00:44
| オペラ・オン・アイス
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