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さあ、次に進みますよ。このパートはタミーノが中心です。さっきのパートで言いたい放題に言われていたタミーノ高橋、名誉回復のために頑張れ~!(というか、単に私が言いたい放題だっただけですけどね)。でもホント、行き当たりばったりにしかネタを考えていないので、無事にタミーノが名誉挽回できるか不安…。(^^;
このパートには弁者が登場します。配役は本田武史さんです。2種類の動画を探してきました。映像としては1つめ(映画版)のほうが面白いし、短いので簡単に見られます。2つめの動画(チューリッヒ歌劇場)は、先のパートと次のパートをしっかりつないでくれているので、見ていただいて損はないと思います。 Wo willst du,kuhner Fremdling,hin? どこへ行くのか不敵な若者よ ケネス・ブラナー監督「魔笛」 おすすめ度:★★★★☆ 1つ下の記事では早とちりがありましたが、これは正真正銘、7月公開の映画版「魔笛」の1シーンです。動画の説明には「タミーノとザラストロ」と書かれていますが、正しくは「タミーノと弁者」です。UPした人が間違えたわけではなく、どうもこの映画では、ザラストロと弁者が一本化されているのでは。ちなみにこの動画は、チューリッヒ歌劇場の動画(↓)のだいたい「4:30~5:50」にあたる部分です。 チューリッヒ歌劇場 おすすめ度:★★★☆☆ この動画は長いので、ちょっと面倒だなという場合は、弁者が登場するところ(2:00ごろ)まで見れば十分かも。ただ、最後のほうでタミーノが初めて魔笛を吹くシーンが出てくるので、せっかくだからそこも見てほしいかも。YouTubeの動画って、早送りできないですよね? それができれば、もっと見やすいのですが(もし私が知らないだけで、やり方があるようなら教えてくださいませ)。舞台でこのシーンを面白く演出するのは難しそうですが、やっぱり見ていてちょっと物足りないので、評価は星3つ。 チューリッヒ歌劇場の動画に沿って、このパートの説明をしてみます。ただ、この場面はちょっと厄介です。というのは、「魔笛」をヘンテコに(そして魅力的に)している善悪関係のねじれが、ここで初めて露呈するからです。 3人の童子たちの道案内で、タミーノがザラストロの城に到着しました。動画の冒頭、舞台の左手に去っていく小柄な後ろ姿が、3人の童子だと思います。ザラストロの城は、こんな外観だったのですね。 ザラストロの城には、3つの扉があります。向かって左から順に、「自然の神殿」「叡智の神殿」「理性の神殿」と書かれています。タミーノは、悪者ザラストロの城が、まるで神々の住まう場所のようであることに驚きます。「こんな神聖な場所に、悪が栄えるとは思えないのだが…」 ともかくは中に入ろうとするタミーノ。左の扉(自然の神殿)、右の扉(理性の扉)を順に開けようとしましたが、そのつど「下がれ!」という声がどこからか聞こえてきて、それならばと真ん中の扉(叡智の神殿)に近づきます。すると、中から1人の神官(弁者)が姿を見せました。2人のあいだに交わされるのは、おおよそ次のような会話です。あ、ちなみに、これはマトモな会話ですからね。(参考: 荒井秀直訳「魔笛」) 弁者「若者よ、どこへ行くつもりなのか。この神聖な場所に何を求めているのか」 タミーノ「愛と徳です」 弁者「愛と徳? しかし、そなたは死と復讐に燃えているようだが」 タミーノ「はい。悪者ザラストロに対する復讐の思いに燃えています」 弁者「ザラストロに復讐を? この叡智の神殿をおさめるザラストロが悪者だと? そなたは何か誤解しているようだ。なぜザラストロを憎むのか、くわしく話してみなさい」 タミーノ「私がザラストロを憎むのは、彼が冷酷な暴君だからです」 弁者「その証拠は?」 タミーノ「嘆き悲しみ、打ちひしがれている1人の女性がその証拠です」 弁者「では、その女がそなたを騙したのだな。若者よ、そなたは女の口から出たでまかせを信じるのか」 タミーノ「でまかせですって? しかし、ザラストロは冷酷にも、パミーナを母の手から奪ったではありませんか!」 弁者「そうだ、そなたの言うとおりだ。なぜそうしたかを、ザラストロがそなたに話せればいいのだが…」 会話はさらに続きますが、ここでいったん小休止。この会話の続きは、ちょうど映画版「魔笛」の動画におさめられている部分に該当します。続きの会話では、ちょっと遊んでみることにしますね(予定)。 ---------------- というわけで、弁者とタミーノの会話の続きです。上記会話の最後の部分から、改めて見てみましょう。 タミーノ高橋:でまかせですって? (驚いた表情のあと、抗議するように) しかし、ザラストロは冷酷にも、パミーナを母の手から奪ったではありませんか! 弁者ホンダ: (やや緊張したように) そ、そうだ、そなたの言うとおりだ。なぜそうしたかを、ザラストロがそなたに話せればいいのだが…。 タミーノ高橋:(真剣な顔つきで、弁者ホンダに詰め寄る) 教えてください! パミーナはどこにいるのですか? あるいは、もう手遅れなのですか!? 弁者ホンダ: (気おされたように後ずさりして) い、いまは言えない…。私には答えることが許されていない…。 タミーノ高橋:はっきりさせてください! ごまかさないでください! 弁者ホンダ:あ、えーと…。 (タミーノ高橋に真剣な目で見つめられ、つい照れたように口もとをゆるめてしまう) タミーノ高橋:本田先輩…! (小声で、きっぱりと) 照れちゃダメです! 照れたとたんに、見ているほうまで気恥ずかしくなるんですから…! 弁者ホンダ:あ、ああ…。 (気を取り直して) い、今は沈黙するのが、私の務めだ。 タミーノ高橋: (すでに演技の表情に戻っている) では、いつになれば明らかになるのでしょう? 弁者ホンダ:友情が…友情がそなたを聖域に導き、永遠のきずなが結ばれるときだ。 (弁者ホンダ、神妙な面持ちで扉の向こうに戻っていく。中に入ったとたん、ほーっと胸を撫でおろす) タミーノ高橋:ああ、いったいいつになれば夜が明けるのだろう。日の光を見ることができるのだろう…! 合唱: (どこからともかく答える声が聞こえてくる) 間もなくだ。さもなくば、その日は来ない。 タミーノ高橋:間もなく? さもなくば永遠に来ない…? 目に見えぬ声よ、どうか教えてください! 愛するパミーナは…彼女は無事なのでしょうか? 合唱:パミーナは無事だ。 タミーノ高橋:無事ですって? (その場にひざまずき、感極まったようすで) ああ、感謝します! なんという喜び! (そのころ、バックステージで) 夜の静香女王:大ちゃんは、ほんとに役になりきっちゃうわね。すごい熱演ね。 ミキティ・パミーナ:うん。ああいうとこはカッコいいね、悔しいけど。 夜の静香女王:パミーナ役としては、あんなふうに情熱的に愛を表現されたら、ついクラクラっとしちゃうんじゃない? (からかうように) ミキティ・パミーナ:う~ん、どうかな。まったくないといえば、ウソになるかもしれないけど…。でもねっ。 (いきなり憤然と) しーちゃん、聞いて! 大ちゃんったら、私への愛の歌を歌うとき、手鏡を見ながら歌っていたらしいのよ! 夜の静香女王:ええっ? 冗談みたい。それ、ほんと? (驚きと笑いが一緒になったような表情) ミキティ・パミーナ:ほんとほんと。目撃者の織田君に聞いたんだもん。 夜の静香女王:あっはっは。大ちゃんらしいわねえ。そこまでやるかしらねえ。 (大笑い) ミキティ・パミーナ:頭きちゃう。ほんっと、ナルシーなんだから。 夜の静香女王:そういえば、前に本で読んだんだけどね、若いころのアラン・ドロンも、映画の撮影のとき、共演している女優さんの顔を見るより、鏡で自分の顔ばかり見ていたらしいわよ。(注:ブリジット・バルドーの自伝に書いてありました) ミキティ・パミーナ: (目を丸くして) ええ~っ? アラン・ドロンと共演するくらいなら、きっと美人ばっかりなのにねえ。 夜の静香女王:ほんとよね。あのころの女優さんって、みんなきれいだものね。 ミキティ・パミーナ:あ~あ。大ちゃんは、アラン・ドロン並みなのかあ…。 (ため息まじりに) 夜の静香女王:そういうこと。今度、ドロンって呼んであげれば? (笑いながら) (そのとき、2人が話している近くを弁者ホンダが通りかかる) 弁者ホンダ:ダイスケ、お疲れっ! タミーノ高橋:あ、先輩こそお疲れさまです。いやあ、オペラって長丁場ですね。 弁者ホンダ:うん、まだ1幕が終わりきっていないんだもんな。(そこでいきなり声をひそめて)それよりダイスケ、いい話を聞かせてやろうか。 タミーノ高橋:何ですか、いい話って? 弁者ホンダ:さっきそこで、静香と安藤がおまえのことを話してた。 タミーノ高橋:へえ。なんて言ってました? 弁者ホンダ:おまえがアラン・ドロンみたいだって。 タミーノ高橋:えっ、ほんとですか? (目を輝かせる) 弁者ホンダ:うん、安藤が「大ちゃんはアラン・ドロン並みにカッコいい~」ってため息をつくものだから、静香が「今度からドロンって呼んであげれば?」って言ってたぞ。 タミーノ高橋:ええ~。なんか照れますね。でも、ほんとに似てるかな? 先輩、どう思います? 弁者ホンダ:ドロンっていうのは、もののたとえなんじゃないのか? ほら、「裕次郎」が二枚目の代名詞だったみたいに、「カッコいい」と言いたかったんじゃないの? タミーノ高橋:そっか、それはあるかもしれないですね。いやあ、まいったな。 (照れたように頭をかく) (2人が話している近くを、夜の静香女王が通りかかる。しばらく2人の会話に耳を済ませていたが…) 夜の静香女王:まったく…。何を言ってるのかしらねえ。 (肩をすくめて立ち去る) えーと。動画の説明がまだ少し残っているので、以下続く、です。(^^; ---------------- というわけで、動画の続きを説明しておきます。 どこからともなく聞こえてきた声に(天の声みたいなもの?)、パミーナが無事だと知らされたタミーノは、感謝の気持ちを込めて魔笛を奏でます。すると、その音色に誘われて、獣たちが集まってきました。魔笛の音色には、恐ろしい獣たちをも魅了する効力があるようです。さすが魔笛ですねえ…といいたいところですが、だからどうだっちゅーの、という気も…。もっとピンチを救ってくれるような威力を発揮しないのでしょうか? 魔笛を奏でながら、タミーノは思います。「この笛の音がパミーナに届かないものだろうか。彼女が返事をしてくれないものだろうか。ああ、彼女はいったいどこにいるのだろう」 するとそのとき、タミーノの笛の音に応えるように、パパゲーノの笛の音(注:パパゲーノも自前の笛をもともと持っている。「俺は鳥刺し」の動画参照)がどこからか聞こえてきたではありませんか。タミーノは狂喜します。「パパゲーノが応えてくれたぞ。きっとパパゲーノはパミーナと一緒に違いない!」そう言って、タミーノは笛の音が聞こえてくるほうへと駆け出していきました。うーん。パパゲーノが普通の笛で合図できたんだから、タミーノも普通の笛で十分だったのでは、という気がしますよね。魔笛、あまり役に立っていません。(^^;
by noma-igarashi
| 2007-05-13 18:49
| オペラ・オン・アイス
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Comments(4)
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ニルギリ
at 2007-05-14 21:47
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ケネス・ブラナーが映画「魔笛」の監督!え〜ッ?
そっちに反応してしまいました。ネットで評を読むと、間違っても大ヒットはしない映画であることはわかりました(苦笑) でも、こういうヘンテコな映画は好きなんで、たぶん見ます(問題は田舎の映画館に来るのかどうかですね…汗) そして弁者本田…サブで高橋選手のコーチをしていることを考えると、すばらしいキャスティング!ぴったり収まりますね。 しかし、あの泣きそうな顔で、ケガばっかりして、さんざんアタシを心配させた本田が、導き役とはねえ(感涙) 下の記事で、高橋選手の顔の大きさが話題になってましたが(私は特に大きいとは思わないですけどね、でも足は…あ〜ノーコメント)、問題は顔を比較したときです。モノスタトスは小塚選手ですよ、小塚君!あの小顔の! ジャパンオープンで見た小塚選手の顔ときたら、こぶし位の大っきさ(かなり大げさ)しかありませんでした!う〜ん、高橋タミーノ顔デカ伝説が始まらないとイイケド…。
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NOMA-IGA
at 2007-05-14 22:33
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ニルギリさん、こんばんは!
>ケネス・ブラナーが映画「魔笛」の監督!え〜ッ? >そっちに反応してしまいました。ネットで評を読むと、間違っても大ヒットはしない映画であることはわかりました(苦笑) 監督のことはよく知らないのですが、映画「魔笛」、確かにあまりヒットはしなさそうですね(少なくとも日本では)。「トゥーランドット」ならともかく「魔笛」で、第二次世界大戦ならまだしも第一次世界大戦で、モーツァルト・イヤーの去年ではなく今年の公開で…。あ、もちろん、私も見に行くつもりですが。 >下の記事で、高橋選手の顔の大きさが話題になってましたが(私は特に大きいとは思わないですけどね、でも足は…あ〜ノーコメント)、問題は顔を比較したときです。モノスタトスは小塚選手ですよ、小塚君!あの小顔の! 小塚選手、私も世界選手権のときに、至近距離で見ました。顔、ホントにちっちゃかったですね~。モノスタトスの配役、まだ決定したわけではないので、別の人にしたほうがいいかしらん? いやでも、タミーノ高橋にあらゆる試練に耐えてもらってこそ「魔笛」でしょうかね。(^^;
NOMA-IGAさん、こんにちは。
行き着けのHMVが「DVD2枚買ったら2割引きセール」やってたんですが、これは「DVD買いなさい」という思し召しなんでしょうか……? でも一枚は魔笛買うとしても、もう1枚はどうしよう……(販売店の思惑にハマっとるような気が) それにしてもやっぱりこのシーン読むと、タミーノとパパゲーノ、特に打ち合わせもなくふらふらと別行動とっているような気がします。……って、あんまりシカネーダー氏をいじめてはいけませんね。 モノスタトスですが、南里選手はどうでしょう? おとなしそうなイメージのある選手ですが、ここはイメチェンする気で!(って何が)
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NOMA-IGA
at 2007-05-15 00:46
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Ricさん、こんばんは!
>行き着けのHMVが「DVD2枚買ったら2割引きセール」やってたんですが、これは「DVD買いなさい」という思し召しなんでしょうか……? でも一枚は魔笛買うとしても、もう1枚はどうしよう……(販売店の思惑にハマっとるような気が) あはは。わかります~。私はネットのHMV専門なんですが、やはり2枚買うと割引きになることが多いので、必ず2枚買ってしまいますね。ここはやはり、もう1枚買うっきゃない!? >それにしてもやっぱりこのシーン読むと、タミーノとパパゲーノ、特に打ち合わせもなくふらふらと別行動とっているような気がします。……って、あんまりシカネーダー氏をいじめてはいけませんね。 シカネーダーさんは、初代パパゲーノでもあるので、もしや自分の出番を多くした、とか?(^^; 本を読むと、かなりアバウトな性格の人のようだから、性格が反映された可能性もありそうですね。 >モノスタトスですが、南里選手はどうでしょう? おとなしそうなイメージのある選手ですが、ここはイメチェンする気で!(って何が) お、新たな候補が出ましたね。そろそろモノスタトスが再登場するので、そのとき検討したいです。
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