111.31KV620日記


オペラ、フィギュアを中心に、そのとき興味のあることがらを話題にしています。
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フィギュア「カルメン比較」--クリロワ&オフシアンニコフ組

2つ下の記事のコメント欄で、ak-Gさんが教えてくださったのですが、長野五輪のアイスダンス銀メダリスト・クリロワ&オフシアンニコフ組のフリー演技「カルメン」が、珍しくカルメンとドン・ホセを演じたもののようです。これなら書きやすいので、急遽、このプログラムについて書いてみることにしました。演技の解釈はあくまでも私の感じ方をもとにしているので、「こういう見方もあるのでは?」というようなご意見がありましたら、ぜひお聞かせくださいませ。

クリロワ&オフシアンニコフ組の「カルメン」 1998年長野五輪フリー
【曲の構成】
時間:曲名
 (時間はYouTubeの表示時間に基づいています)
0.25~:闘牛士の歌
0.50~:第4幕への間奏曲(アラゴネーズ)
1.50~:第1幕への前奏曲
2.10~:サラサーテ「カルメン幻想曲」序曲の後半(該当する曲が「カルメン」にもあります?)
                         ↓   ↓  ↓
      「カルタの歌」の中で、カルメンが歌うパートのように思われます(8/6追記)
3.20~:第2幕フィナーレの合唱
4.15~:第1幕への前奏曲

いやあ、2人で演じると、ものすごくドラマチックですね! しかも、新採点方式が導入される前のアイスダンスの演技だから、情感たっぷりで、まるで短いお芝居を見ているよう。演技の中盤、ドン・ホセがカルメンを追いかけて走るところなんか、思わずドン・ホセに感情移入して泣けてきました(解説を聞くと、ただリンクを走るだけでは、当時としても技術面の評価は低かったようですけどね)。

普通、オペラの「カルメン」を見ていて、ドン・ホセに感情移入することはまずありません。女性はたいてい、ドン・ホセをあまり好きではないのでは。オペラ「カルメン」のくわしいあらすじは、こちらとかこちらでどうぞ。ここでも簡単に説明すると…。

ドン・ホセは、情熱的な女性カルメンと出会い、たちまち夢中に。カルメンのほうも、最初のうちはドン・ホセのことが好きだったので、しばらくの間はラブラブでした。しかし、蜜月はそう長くは続きません。恋多きカルメンの心はドン・ホセを離れ、やがて花形闘牛士エスカミーリョに向けられます。思い直してくれとカルメンに迫るドン・ホセ。拒むカルメン。嫉妬に狂ったドン・ホセは、とうとうカルメンを刺し殺してしまうのでした。(幕)

この流れに沿って、クリロワ&オフシアンニコフ組の演技を解釈してみます。もちろん、オペラの筋書き通りの構成になっているとは思わないですけど、オペラの内容を下敷きにしているのは確かだと思います。

最初の「闘牛士の歌」は、エスカミーリョが盛大に歌う歌ですが、エスカミーリョの歌だということは、この演技ではあまり関係なさそうです。有名な歌なので、「さあ、これからカルメンの世界を繰り広げますよ」という合図のようなものでは。印象的で景気のいい曲でもありますから、ドラマチックな演技の始まりにはふさわしいです。

この曲に合わせての演技は、ドン・ホセとカルメンの出会いが表現されているように思います。2人が離れた位置で演技を開始しますから、めぐり逢って恋に落ちるシーン、という感じでしょうか。やがて曲がアラゴネーズに移ると、愛し合うようになってからの2人の心情が表現されているように感じました。アラゴネーズはせつない印象の曲だし、演技も幸せいっぱいというよりは、愛するがゆえのせつなさが強調されているように思います。カルメンとドン・ホセとでは、性格などが全然違いますから、気持ちのすれ違いだとか、愛しているからこその不安だとか(特にドン・ホセの側には)が多々あったと想像されます。

この曲に合わせた演技では、ドン・ホセがカルメンを追って走るシーンも出てきますが、これも、たとえばカルメンが心変わりしたので追いかけているというわけではなく、愛し合っている状態でのドン・ホセの不安感を表現したものだと思いました。カルメンの心変わりは、このすぐあと、別の曲に切り替わったときでしょう。

次の曲(第1幕への前奏曲)は、曲を聴いているだけで、なんだか不吉な出来事を予感させるようなところがありますね。演技を見ても、2人が争っているような動きをしています。やはり、ここで2人の間に何らかの変化(オペラの筋書きに沿って考えれば、カルメンの心変わり)が起きた、ということを表しているのではないでしょうか。

続いて、がらりと曲調が変わり、今度は物悲しい印象の曲が始まります(これ、曲名を勘違いしていたので訂正しました)。オペラ「カルメン」では、カルメンがひとたび心変わりすると、2人の関係が元に戻ることはもう絶対になさそうな展開になりますが、このプログラムではそこまでいかず、2人の間で繰り広げられる葛藤が描かれているように思います。実際、オペラ「カルメン」にしても、解釈の仕方によっては、カルメンは最後までドン・ホセに未練があった、という見方も可能だろうと思うし(映画「永遠のマリア・カラス」の中に組み込まれた「カルメン」は、どうやらこの解釈のようでした)。この曲の途中で、カルメンがドン・ホセを挑発し、ドン・ホセがカルメンをナイフで刺すようなポーズも見せますね。終盤に向けて、2人の関係がだんだん切羽詰っていくのが感じられます。

3分20秒ごろ(←YouTubeに表示されている時間)に、曲がアップテンポのものに変わりますが、演技内容としては、前の曲からの続きという感じでしょうか。途中、カルメンがドン・ホセの頬を何度もぶつようなポーズもあり、この部分はちょっとコミカルです。

そして終盤。曲が再び、中盤でも使われた前奏曲に切り替わります。この曲、「宿命」というのだそうで、確かにそんな感じがしますね。曲が切り替わってすぐに、ドン・ホセがカルメンを蹴るようなポーズを見せます。この部分が、ドン・ホセがカルメンを刺し殺すシーンに該当するのではないでしょうか。蹴られた直後に、女性が悲鳴をあげるような、苦痛に耐えるような表情をしますから、たぶんそうじゃないかな、と。

ただ、どうして刺さずに蹴っちゃうの、と疑問にも不満にも思いますが。あくまでも演技上の見栄えという観点からいうと、刺す(相手と密着する)のと蹴る(相手を遠ざける)のとでは印象が大違い。小説でもオペラでも、ドン・ホセはカルメンを刺し殺したことになっているわけだから、刺す演技のほうが断然よかったのでは。

それとも、曲が変わる直前に、2人が抱き合う(というかカルメンがドン・ホセにしがみついている)ようなリフトがありますが、もしかして、ここで刺されているのかしら? かもしれないですけど、う~ん、だとしたら、ドン・ホセの演技として、刺した直後にカルメンを蹴るかなあ…。特に、オペラのドン・ホセを念頭に置いて見ると、ここでカルメンを蹴るというのはずいぶん違和感があります。

というわけで、この部分の演出には不満なんですが、エンディングは素敵です。男性の胸元から赤いスカーフを抜き取るというのは、反則すれすれでも、やはりすごく印象的。これは、ドン・ホセの心臓(こころ)でもあり、カルメンの血でもあると解釈しました。死んでゆくカルメンは、ドン・ホセの心を持って行っちゃったわけです。愛するカルメンを失ったドン・ホセは、死んだも同然ですから。というわけで、あの赤いスカーフは、カルメンがドン・ホセの胸元から抜き出すところまでは、ドン・ホセの心の象徴であり、カルメンの手にわたってからは、彼女が流す血に見立てられているのではないかと思いました。

それにしても、こうしてカルメンとドン・ホセしか出てこない「カルメン」を見ると、「カルメン」の主役はやはりこの2人であって、エスカミーリョもミカエラも、所詮はオペラのためにあとで付け足された役柄だというのがよくわかりますね。オペラ「カルメン」のドン・ホセは、ちょっと好感を持ちにくい男性なんですが(最後はまるでストーカーのよう)、それも歌手の演技次第なのかもしれません。オペラでも、ドラマチックで感情移入できるようなカルメンとドン・ホセをぜひ見てみたいものです。
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by noma-igarashi | 2006-07-28 20:17 | フィギュアスケート | Trackback | Comments(4)
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Commented by ak-G at 2006-07-27 19:49 x
NOMA-IGAさま
私の書いたコメントが、このブログのお役に立てたのなら幸いです。
記事にしていただき、ありがとうございました。
長野のアイスダンスというと、アニペー・グリプラの印象が強すぎてメダリストの中ではこの組のことはあんまり語られることが少ないんですよね。(直後のワールドで優勝しましたけど)こうやって他の方にこの演技に触れてもらえる機会ができて、私も嬉しいです。
ありがとうございました。
Commented by NOMA-IGA at 2006-07-27 20:55 x
なんだかちゃっかりネタをいただいてしまった格好で、お礼を申し上げなくてはいけないのは私のほうです。どうもありがとうございました。
このあと、最後のシーンで女性が、男性の胸元から赤いスカーフを抜き取る演技について、うまく説明できるといいのですが…。
引き続き、お読みいただけたら嬉しいです。
Commented by ak-G at 2006-07-29 23:10 x
おお!「ドン・ホセの心臓=カルメンの血」そういう解釈があったか!
目からウロコです!!ただ、原作知らないと解りにくくもありますよね。
長いことあれはカルメンが殺したと思ってたんで。
Commented by NOMA-IGA at 2006-07-30 00:17 x
…というような解釈をしてみました。
納得していただけたようならウレシイのですが。
でも確かに、おっしゃるようにも見えてしまいますよね。

何はともあれ、最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
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